前回では評価制度についてお話ししました。
今回は福利厚生について話します。
こちらも評価制度と同様、職場によって非常に多岐に渡ります。
その中でも比較的一般的ともいえる福利厚生をそれぞれ紹介していきます。
もちろん職場によってはここで紹介した福利厚生がないこともあります。
また試用期間内、もしくは短期やパートの雇用時は福利厚生が利用できないこともあります。
要件は確認するようにしましょう。
- 1. 対象サービスが実質半額に Epassi
- 2. 交通費の支給や自転車費用の負担
- 3. PC周辺機器やスマートフォンの割引販売
- 4. 提携企業のサービスや店舗の割引
- 5. 軽食や昼食の食事手当
- 6. 医療費の負担
- 7. 産業保健の提供
1. 対象サービスが実質半額に Epassi
まずはとても有名なこのサービスから。
「Epassi(エーパッシ)」と呼ばれています。
簡単に言うとこれは「お金をチャージしてサービス利用時に払う」電子マネーのようなサービスです。
チャージした額と同額のお金を雇用主側がチャージしてくれます。
例えばあなたが€100チャージしたら雇用主側も同額を自動チャージ、合計€200のサービスを受けられるようになります。つまり実質半額になります。
対象サービス
これも職場によって様々です。対象は以下のサービスです。
職場によっては一部のみしか対応していないこともあります。
- 食事(Epassi対応店で食事した場合のみ)
- マッサージ
- 歯の治療や健康診断
- ジムやプールの利用料やヨガのクラスを受講
- 映画館や劇場鑑賞
- 交通費(HSLの定期券購入なんかにも使えます)
上限額が決まっている、また月単位で見るとそこまで多額の補助ではありません。
でもこれらのサービス利用が実質半額になるのはちょっと嬉しいですよね。
利用時の注意点
もちろんチャージ額には年間の上限が設定されています。
上限額は職場によって変動することがあります。
年間の最大チャージ可能額を一度にチャージできるのか、少しづつ分けてチャージできるのかは職場によって異なります。
資金繰りが厳しいような規模が小さい会社や組織ですと後者の場合が多いでしょう。
なお雇用主側のチャージの有効期限は1年です。
使われなかった分は新年度に期限切れとなり消滅します。
例えば、残高がまだ€100あるのに新年を迎えたら雇用主側が負担していた分の€50が消滅し、€50(自己負担額のみ)が理論上残ります。
※もしくは次年度も同じ保障が継続されるならば新年度の分の補助を利用することになります。
使う予定がある場合は年内に使い切るようにしましょう。
2. 交通費の支給や自転車費用の負担
日本では一般的な交通費全額支給、フィンランドでは一般的ではありません。
つまり交通費は自腹という会社員がそれなりにいます。
ただ会社によっては全額または一部負担、補助してくれるところもあります。
Epassiを介せず補助してくれる場合、Epassiは運動や食事など他のサービスに使えることを意味します。
なお交通費だけでなく自転車など、通勤に必要な物品の購入を補助してくれる場合もあります。
3. PC周辺機器やスマートフォンの割引販売
業務上必要なものは職場で支給されるものですが、プライベートで使用するものも社員割引で購入できることもあります。
使われなくなった少し古い型のノートPCを破格の値段で買い取ることができたり、最新のスマホを割引価格で買えたりと様々です。
4. 提携企業のサービスや店舗の割引
例えばフィンランドの大手スーパー、Kグループの社員やその提携会社の社員。
彼らはKグループのスーパーで5~10%OFFになる買い物ができます。
このように職場によっては提携企業サービスの割引や無料券などがもらえます。
5. 軽食や昼食の食事手当
職場によっては小腹が減った従業員のために軽食を用意しているところもあります。
生野菜やフルーツ、ゆで卵やヨーグルトにクッキー、パンや炭酸飲料など職場によって様々です。
ちなみに自分の職場はアイスクリームも対象なので好きな時に自由に食べれます。
(個人的に気に入っている福利厚生の一部です!)
フィンランドといえばコーヒー休憩文化(Kahvitaukokulttuuri)ですね。
ドリップコーヒーはほぼ全ての職場で無償提供されています。
なお日によってはコーヒー休憩にプッラやケーキが出てくることもあります。
また昼食手当として雇用主側が全額負担、または一部負担してくれるところもあります。
提携先の食堂で食べたら無料、もしくは社員証を見せたら割引価格となることもあるでしょう。
Epassiを介して昼食補助としている雇用主もいます。
もしくは食堂で食べなかった場合はその日の分の昼食手当を現金で支給されることもあります。
これは給与支払い時に支給されることが多いと思います。
6. 医療費の負担
雇用主は「業務に支障がある症状がある」場合に従業員に対し医療費を負担してくれることがあります。
逆に業務に支障がないもの、また歯の治療は自己責任とし治療費は基本的に全額自己負担となります。
しかし職場によっては「年に〇〇€まで自己負担の治療費を支給する」医療費補助があります。
これを使えば定期健診や歯の治療に使うことができます。
治療費を気にせず病院に行きやすくなるでしょう。
個人的に専門医による診察は公共病院より私立病院の方が質が高い印象があります。
こういった福利厚生を利用して良いサービスを使えるというのは嬉しいですね。
7. 産業保健の提供
先ほど業務に支障がある症状がある場合、雇用主が治療費を負担してくれることがある、としました。
これは産業保健(Työterveys)と呼ばれています。
(2024/11/10追記)
本項に関しては下記の理由により、今現在解説を記述をしていません。