裏フィンランド

憧れる人も多い北欧フィンランド、表面的なことだけでなく内側の部分を紹介します

フィンランドの食文化ー森の国フィンランドでは木の皮も食料

フィンランド料理と言うと皆さんどんな食事を思い浮かべるでしょうか。

黒くて丸いライ麦パン、サーモンスープ、トナカイ肉などが観光客に人気ですね。

現代では美味しい食事が食べられるようになったフィンランドですが、元は寒冷地に位置する小さな国。食べるものに困っていた時代がありました。

今日はそんな古きフィンランドのちょっと意外な食事を紹介してみます。

 

バークブレッド

フィンランド語で「Pettuleipä」と呼ばれています。
Leipäはパンを意味しますがPettuの意味は何でしょうか。

PettuleipäはPettuからできたパン、つまり松の木の皮から作られた粉から作られたパンです。
英語ではBark breadと呼ばれ、日本語にも英語訳がそのまま使用されています。

木の皮なんて使用して、味は美味しいのか気になるところですよね。
残念ながら味はそこまでいいわけではありません

樹皮粉を用いると通常のパンに比して苦みが増し、また出来上がるパンが食欲をそそられない灰緑色になってしまう。
イースト菌が樹皮粉を十分に分解できないためパンが膨らみにくく、硬く、型崩れしやすい、といった弱点も抱える。

 

現代風にアレンジしたものならともかく、原型版は誰にでもお勧めできるものではなさそうです。

 

なお、このパンは元々救荒食物(きゅうこうしょくもつ)として生まれました。
救荒食物とは異常気象や災害、戦争に伴い発生する飢餓などの理由で食べるものに困った際に食されていたものです。

 

例えば1918年、フィンランド内戦が起こった頃の話です。
当時は店で普通に松の木皮粉が手に入る状態だったとのこと。
なお地方では1930年代までこの松の木皮粉に頼らなければならない家庭もあったそうです。

そう考えると現代は本当に簡単に食料が手に入る世の中になったものですね。

 

なお現代でも教育の面や好奇心から"木の皮パン"を作っている人は一定数います。
ネットで調べればレシピも見つかるので興味がある人は作ってみてはどうでしょう。

 

画像引用元:
Kotiliesi
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