裏フィンランド

憧れる人も多い北欧フィンランド、表面的なことでなく内側の部分を紹介したいと思います

フィンランドで働くー税金編ー 働くときは納税カードを取得しよう

フィンランドに来た人の中にはフィンランドで仕事をする予定の方もいらっしゃると思います。
仕事をすると給与が支払われますね。フィンランドでも給与は税金が自動的に引かれます。

 

この税金、日本と異なる点もあるのでフィンランドで働く予定の人はぜひ知っておいてほしい情報です。

日本人がフィンランドに住み、フィンランド企業で働く前提でこの記事を書いていきます。

 

 

はじめに納税基準を確認する

まず、一年の内どのくらい長い期間フィンランドに住むのかを確認しましょう。

6ヶ月未満の滞在は他の国に居住していると見なされ、源泉徴収(Lähdevero)が給与から引かれた状態で支払われます。その際の税率は35%です。

 

そして日本とフィンランドは税金に関する契約、租税条約(Verosopimus)を結んでいます。

租税条約は、課税関係の安定(法的安定性の確保)、二重課税の除去、脱税及び租税回避等への対応を通じ、二国間の健全な投資・経済交流の促進に資するものである。

財務省、租税条約に関する資料より)

例えばフィンランドに5ヶ月、日本に7ヶ月滞在するとします。
この場合居住国は日本となり、日本の取り決めに従いに税金を支払う必要があります。

確定申告時に1年間の収入と合わせて、フィンランドで税金を払った分も忘れずに申告しましょう。

一方で6ヶ月以上、つまり年の大半をフィンランド過ごすことを予定している方はフィンランドに居住していると見なされ、フィンランドで税金を支払うことになります。

その場合は給与を元に計算された税金を支払うことができます。

ワーキングホリデーでは1年間の滞在許可が下ります。そのため1年間住む前提となり、税金面では「フィンランドに居住している」と見なされるでしょう。

まろんさん、情報提供ありがとうございました。)

では6ヶ月以上滞在する予定の皆さん。給与を元にした税金を支払うためには納税カード(Verokortti)を申請する必要があります。忘れずに取得しましょう。

 

納税カード(Verokortti)とは

納税カードとは今年度その人が払うべき税の比率が示された書類を指します。
これは前年度の給与を元に自動で計算をされます。

しかし初年度(フィンランドに来て間もない人)や、転職や離職などで収入が変わった人は自分で申請をする必要があります。

残念ながら日本の年末調整とは異なり自分でしなければなりません。雇用主となる企業は従業員雇用の際などに納税カード(Verokortti)を確認しますが、個人の税金(税率)には基本的に関与しません。

 

なぜ申請する必要があるのか

フィンランドでは所得税・失業保険などの税金や年金は収入に応じて変動します

つまり所得が低ければ支払う額も低く、所得が高ければたくさん税金で支払う必要が出てきます。(自分はとても合理的だと思います。)

過去フィンランドで働いたことがあり、変更手続きをしなかった場合は前年度の税率を引き継ぎます。
つまり環境が変わらなければそのままで問題ありません。

ではフィンランドに来て間もない人など、前年度の納税データがない場合どうなるでしょうか。
その際、税率は60%となることもありえます。注意してください。


もちろん来年度には還付金(Veronpalautus)として返還されます。

しかし毎月40%しか給与が貰えないというのは厳しい生活を強いられそうです。

また給与が大幅に下がった際は税率を下げるため変更の申請しましょう。
大幅に上がった場合も追加納税に驚かなくてすむよう税率を見直しましょう。

 

なおカードと言っても、現在はデジタル化により電子管理されてます。
何か物理的な書類やカードが貰えるわけではありません。

国税庁のマイページ(Omavero)からPDFをダウンロードし紙に印刷することは可能です。

 

年金の豆知識

フィンランドでは年金も収入に応じて支払額が変動します。高額の年金をもらうこともあれば、収入が少ないと支払額が少なくなります。

そしてフィンランドの年金は最低保障額が定められているので、基準以上の年金を支払っていなくても最低額は支給されます。いつかこれも記事にしたいですね。

 

 納税カード(Verokortti)の申請方法

申し込みおよび税率の変更はオンライン、国税庁のマイページ(Omavero)で行えます。

電話や直接訪問でも受け付けてくれるようですが、オンラインで申請するのが一番簡単でしょう。

 

用意するもの

  • Henkiötunnus(オンライン認証時に必要なパスワードなど)
  • 雇用契約書(大半の人はこの給与を元に年間所得の計算すると思います)
  • その他、給与以外の収入があればその詳細

これらの準備が整ったら国税庁のページ(英語版リンク)に行き申請しましょう。
申請方法がわからない場合は国税庁からの公式ガイドにも目を通してみましょう。

本来であれば詳細を説明するべきですが、自分が書かなくてもいいレベルで公式ガイドがとてもよく出来ています。ぜひそちらを参照してください。

また予告なく申請方法や制度が変わる恐れがあるため、こういった公的手続きは最終的にはご自身で判断するように心がけてください
このブログも間違ったことを書いてしまってるかもしれませんよ!

 

登録後はどうするか

申請後1〜3日程度で納税カードがもらえるでしょう。その後どうするかというと雇用主に納税カードの情報を届けます。雇用主はそのデータを元に給与計算時に天引きした額を支払います。

 

ではどのように届けられるのでしょうか。実はこれ勤務先によって変わってきます

昨今はデジタル化により、国税庁から自動で個々の情報が同期される(VeroAPI)ことが多いです。そのため勤務先によっては納税カードについて問われないこともあります。

それらの情報はHenkilötunnus(個人識別番号)に紐づいてるため別途聞く必要がないためです。

このように更新する手間が必要なくなるため自動化が進んでいます。

しかし中には手動で従業員の情報を取得し対応している企業や店舗もあると思うので、雇用契約時に確認するようにしましょう。うっかり確認を怠り60%の課税とならないように。

雇用主に申請するとなると何か仰々しいイメージをするかもしれません。しかし実際はOmaveroでダウンロードした納税カードのPDFをメールで送るだけでよかったりします。

 

さいごに

働くとなると慣れない環境で不安かもしれません。
しかしこういった公的機関は親身になって相談してくれます。困ったときは相談しましょう。

 

またこれからフィンランドで働く予定の人に一言
給与明細は必ず確認しましょう!!!
(とっても大事です。平気で間違えてるときありますから...) 

 

画像引用元:
Yle(Derrick Frilund)